香港で居住用の賃貸物件を借りる場合の基礎知識として、賃貸物件の種類、物件資料の読み方、中途解約や更新のルール、家具や家電などの設備について、賃貸契約で必要となる費用や書類という項目に分けて説明していきます。香港でのマンション探しなどに役立つことができれば幸いです。
香港の賃貸における保証金とは?
香港で部屋を借りる際、ほとんどの物件で家賃の2か月分を「保証金(Deposit)」として支払います。オフィス物件は家賃の2〜3ヶ月分の保証金、レストランやショップ物件は家賃3〜4ヶ月分を支払うことが一般的です。これは日本でいう敷金にあたるもので、入居中の家賃滞納や、設備の破損、契約違反などがあった場合に、その費用を差し引くための“担保金”です。

保証金は物件退去時に全額返金されるのが通常ですが、トラブルが発生しやすいのは、オーナー側の独自判断で修理費用を請求されるケース。香港では「どこまでが借主負担か」が曖昧なケースも多いため、契約前に設備リストや室内の状態写真を残しておくことが大切です。
返金のタイミングと一般的な流れ
香港の賃貸では通常、退去手続きが完了してから1か月以内に保証金が返金されます。
ただし、契約書に明記がない場合や、オーナーが修繕費の見積もりを確認している場合は、それ以上かかることもあります。

返金の流れは以下の通りです。
- 借主が退去を通知(通常は1か月前)
- オーナーまたは代理人が室内チェック
- 光熱費の清算・未払いの確認
- 修繕費などの差し引きを計算
- 問題がなければ銀行振込または小切手で返金
まれに返金が遅れる、または一部が差し引かれることもあるため、契約書の条項を確認しておくことが重要です。
それでも解決に至らない場合は、専門家に相談し対応を進めましょう。当社でも、このような返金トラブルに対応しています。
返金トラブルが起きやすい3つのケース
基本の契約形態は「2年契約(1年固定、1年オプション)」です。
家主と合意さえできれば、「1年契約」や「短期契約」もあり得ますが、ここでは基本的な契約について説明します。
一般的な契約期間の2年のうち、最初の1年は固定期間でどちらからも解約することはできません。
エアコンのフィルター清掃や壁の小さな汚れは通常使用とみなされますが、家具の破損・壁の大きな穴・水漏れなどは修繕費を請求される可能性があります。入居時に「Inventory List(家具リスト)」を仲介会社と一緒に確認しておくと安全です。
契約期間(フィックス期間)内に解約する、ペット禁止物件で飼育する、騒音・異臭などのクレームが発生した場合などは、全額返金されないこともあります。違約条件は契約書に細かく明記されているので、サイン前に必ず確認しましょう。
返金トラブルを防ぐための事前対策
保証金を無事に取り戻すには、入居前・退去前の準備が何よりも重要です。
以下の3つを特に意識しましょう。

- 返金条件を契約前にしっかり確認しておく
- 返金時期や差し引き項目を事前に書面で残しておく。
- 入居時の室内状況を写真で記録しておく
- 家具・床・壁・家電などを写真に撮影。退去時の比較資料として残す。
- 軽度の汚れや破損は退去前に自分で直しておくと安心
- 軽度であれば自身で修繕した方が安く済みトラブル回避につながります。
保証金が返金されない場合の相談・対応方法
オーナーとの交渉で解決できない場合は、以下の方法が利用可能です。
香港政府が提供する法的サポート。返金請求や契約紛争に関するアドバイスが受けられます。
請求金額が 75,000HKD以下 の場合、弁護士を付けずに 本人が直接申し立てることが可能。
契約時の書面をもとに、オーナーへの返金要請や調整を依頼できます。
証拠として、契約書・家賃の領収書・退去時の写真・LINEやメールのやりとりなどを必ず保存しておきましょう。
まとめ
香港では、オーナーと借主の間で返金トラブルは珍しくありません。しかし、入居時の記録・契約内容の確認・仲介会社のサポートをしっかり行えば、トラブルの多くは防ぐことができます。
当社では、賃貸・売買の物件紹介だけでなく、退去後のサポートまで丁寧に対応しております。「保証金が戻ってこない」などのお悩みも、日本語でサポートいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。


